2014年7月30日水曜日

【茶道クラブ】平成26年7月16日


軸 瀧 銀河三千丈
花 花かご むくげ あざみ しまがや とらのお さわききょう

 李白の詩に飛流直下三千丈 疑是銀河落九天 瀧の流れはしぶきを上げて直下すること三千丈あり、まるで天の川が天から落ちてきたかのようだ という一節があります。水は全ての生命の源であり、その秘められたエネルギーはまさしく銀河に喩えられて臆することのないもの。瀧の筆もまっすぐ上から下へ力強く描かれ、この時期の自然界のエネルギーを感じさせてくれる軸です。花も色とりどりの草花がたくさん生けられ、命あってこその世界であることを思い出させてくれます。そしてその命はいつか朽ち果てるはかないものかもしれないが、芸術として表現され与えられた感動は後世まで伝えられ、一個の生命よりも記憶により存在し続けることができる。お茶室にはたくさんの芸術が溢れていますが、一つ一つの芸術の素晴らしさを感じ取ることができる人間になりたいと思います。

 
釣瓶の水指

釣瓶とは縄やさおの先につけて井戸水をくみあげる桶。私達はここで初めて釣瓶をみましたが、武野紹鴎が井戸からくみ上げた水を水屋に置く為に好んだのが始まりだそうです。時代はかわりいまは水道から水は汲まれ釣瓶も姿を消しています。昔の人々の水に対する様を感じることのできたお道具。


 
鎌倉の鳩サブレで有名な豊嶋屋の小鳩豆楽、らくがんのお菓子です。豆の香りを楽しみ、またマメに楽しくお過ごしくださいという願いが込められているそうです。面倒がらずにちょこちょこ楽しく何にでも取り組めばいいことも起りそう。豆の香りのよい、小鳩のかわいらしいお菓子。
 
 
 
主菓子 夏の海 

白小豆の粒餡を2色の練りきりで包み青海波の文様の型をおして金箔をあしらっています。この模様、島国日本が起源のように思えますが、実はペルシャ・ササン朝様式の文様が中国を経由して伝播したもののようです。
 


おまけ マンゴープリンのケーキ

 県内でも生産されるようになったマンゴー。でもフレッシュはまだまだ高いので缶詰め使用です。気候変動で熱帯の果物が栽培され、そのうちリンゴがたべられなくなってしまうのでは?と心配もありますが、楽しく順応していくことにします。
 
 夏の大変暑い時でしたが、お茶室のしつらえは涼しげに整えられ、暑さも疲れも忘れる楽しいひとときでした。皆仕事もあり忙しい中でも時間を合わせて茶道クラブの皆で集まってお茶を飲むということ。ひとりでいたら自分のことなど見えないけど誰かがいてくれたらはっきりわかる。最近では孤食という言葉もありコミュニケーションの場が少なくなっていますが、たくさんの人とかかわり話をして一緒にお茶をする、相手が聞いていようが理解していまいが違いはない、大事なのは一緒にお茶を飲み会話をしているという事。人とふれあうことのできる茶道の世界を大切にしていきたいと思いました。

2014年7月2日水曜日

【茶道クラブ】平成26年6月18日、7月2日


 新人研修ということで茶道クラブで新人の方々をお招きしました。おそらくお茶室は初めて?の経験で佐藤先生よりお茶室での作法、また露地へでて蹲の使い方などを実践しました。もともと茶道の習わしで、客人が這いつくばるように身を低くして、手を清めたのが始まりである。茶事を行うための茶室という特別な空間に向かうための結界としても作用するというこの作法、身を低くして手を清める、亭主の立場を尊重し、自分の立場をわきまえる。これから向かう神聖な空間への心構えが湧いてきます。


 七夕の趣向とのことで松屋藤兵衛の珠玉織姫。織物産業が盛んな西陣辺り、今宮神社には桂昌院尼(五代将軍綱吉の母)を祀った織姫神社があり、桂昌院尼を偲び、五色の糸玉に案を得て創作されたそう。五色の柔らかな色合いがとっても美しく七夕にぴったりの干菓子。織姫の織る五色の糸に見立てられているのでしょうか。織姫と彦星の、結婚して仕事を忘れて楽しく暮らすようになり、神様を怒らせて別々に暮らすよう引き離されてからは一生懸命働き年に一回の逢瀬を許されたという七夕物語。怠惰を唾棄し、勤勉を尊重する物語は私達社会人にとって大変意味深い物語です。



 勤勉な者は願をかけるに及ばずとはいいますが、笹に願いを・・・。墨を用意していただき短冊にそれぞれ願い事をかいて笹に飾り、海に流すのが習わしだとか。ちなみに短冊に書いてご利益のある願い事は芸事であるとされるそう・・・。




 濃茶は初めて飲まれたのではないでしょうか?一つの茶碗で回し飲み。遠慮してもいけないし飲みすぎても困ります。自分の分量をきちっと飲んでまわすことも大切です。主菓子は錦玉と練りきりで作った水中花。何気ないお菓子ですが、寒天の固まる頃合いを見定め練りきり生地を配するのが大変難しいお菓子です。


 水菓子にヨーグルトのアイス、柑橘類の皮で作ったオランジェット。どちらも家で作れますのでレシピが必要な方は茶道クラブまでお問い合わせを。

 
 
 
 

 新人の方達のためにお手前を稽古しています。人をもてなすためには前準備も必要です。楽しんでいただけたでしょうか?これから社会で活躍が望まれる大事な方々にお茶一服差し上げることができ、大変光栄に思います。これからの社会生活で思いや行動に二通りの道があり、一方の選択を迫られた時、人はいずれ来る死を思うのがよい、自分の死が世界に喜ばれるのか、悲しまれるのか。前者に導く生き方は避けなければならない。物語は善と悪の一通りしかありません。善に導くことのできる先輩でありたいと思います。