2012年3月15日木曜日

【茶道クラブ】平成24年3月15日

【茶道クラブ】

~ 弥生 ~ 


春の百花 秋の月 夏の涼風 冬の雪
香川支部 副支部長  故 三谷 安治
春に百花有り 秋に月有り 夏に涼風有り 冬に雪有り
若し閑事の心頭に かくる無くんば 便ち是人間の好事節
つまらぬ事を心に掛けねば、年じゅうこの世は極楽さ
  
無門関(岩波文庫)平常心の一節で、悟りの道は普段の心の中にある。
妄想(欲望)を捨て去り、あるがままを受け入れればその人は幸せであると。付け加えて、この世には暑い夏もあれば、寒い冬もある。ただ在るものは、一つの状態と他の状態との比較に過ぎず、きわめて大きな不幸を経験した者のみ、きわめて大きな幸福を感じることができる。生きることがいかに楽しいかを知る為には、一度死を見てみることが必要である。現代に生きる人々が幸せを感じにくくなっているのは、それゆえにでしょうか。普段つまらんようにみえる稽古も、平常心を養いあるがままを感じる心を養う為には大切なことでしょうか?  

茶碗 京焼
浅見与し三造 曲水 
水の流れのある庭園などでその流れのふちに出席者が座り、流れてくる盃が自分の前を通り過ぎる前に詩歌を読み、盃の酒を飲んで次へ流し、別堂でその詩歌を披講するという行事


井伊宗観好み12ヶ月棗 
弥生 桜と雉 朱塗薬器
桜 かざしをる道行き人の袂まで
桜ににほふきさらぎの空
雉 かり人のかすみにたどる春の日をつまどふきじのこゑにたつらん
薬器 本来は薬をいれていた器を転用したもの 


釣釜 
3月にもちいられる釜で天井から鎖でつっています。自在という鎖で微調節します。ゆらゆらと揺れてこころもとないような、春の風情が感じられます。揺れを抑えながらなので、手前は普段より気は使いますが、客からみると優雅で美しくみえます。 

一服の茶をたてて振舞うことはそれ自体、人と人との交わりで、茶道はその修行であると考えます。その時に、他人のことは干渉せんでええ、自分自身をきちっと決めるのがお茶であると。まず自らを省みる、そしてあるべき姿を築き上げることができたら、相手はどんな人でも受け入れればいい。自分自身を省みる時間を持たず、ほかのせいにすることを求めてしまいますが、他人に惑わされずに、あるべき自分の姿を決めることができたら、強い人間になることができる。毎回毎回退屈で、一見同じことの繰り返しの場であっても、時は刻々と移り変わって少しずつ変わっていく。基本を習い習熟することによって、様々な場面に対応できるようになる。稽古を通じて、どんなことにも耐えうる懐の深い人間に精進できたらと思います。