壁画 敦煌
敦煌はかつてシルクロードの分岐点として栄えたオアシス都市で莫高窟と敦煌文書が有名です。これは元の時代の壁画だそうです。敦煌文書とは莫高窟の壁の中に大量の経典、写本、文献が封じられ1900年に発見された。1000年ごろ運び込まれその後850年ものあいだ打ち捨てられぐっすり眠っていた。その量とバラエティの豊かさは古代言語の研究に恩恵をもたらしたといわれています。これら多種多様の言語が入り乱れてあったということは、それらの文化が当時百花繚乱の様相を呈していたことにほかならず、絵画や染織の模様にはインド、チベットはもちろんイランやトルコ、西欧の手法がいたるところに見出され鮮やかに残っています。
日本などの正倉院のように千年以上ものあいだ人から人へと伝わっていく歴史的文化財を「伝世古」といいます。一方中国などは、全土を支配する国がめまぐるしく変わったため、土の中から発掘されるかたちで結果的に伝わっていった文化財を「土中古」といいます。日本の方がていねいに思えるかもしれませんが、数が少なかったため大事に保管することができた。一方は数が膨大なため土の中で埋まってしまったといえるかもしれません。文化財を作り、愛するのも壊すのも人間。いつの時代でも文化財の天敵は戦乱で石窟寺院だけは石が堅くて壊れにくいから破壊されなかった。石質がもろく仏像は塑土でつくられている敦煌莫高窟が破壊にあってもいまにのこるのは、中原からあまりに遠く、しかも砂漠の中につくられているからで、欲と権力が渦巻く俗世界からはるか彼方にあればこそ残った。人間の軌跡を破壊するより作り受け継ぎ伝えていく人間になりたいと思います。
軸 花開萬国春
日ごとに暖かさが増し、花が咲き始め、長い冬から本格的な春の訪れを感じられるこの喜びが未来永劫続くことを祈る気持ちを込め、悟りの尊い境地を得ることで感じられる永遠の時間の素晴らしさを表しているそうです。
天竺(インド)の紙の釜敷 香合 木魚
天竺は西遊記の玄奘三蔵一行が目指した地。シルクロードの先の東洋の神秘的な理想郷へのあこがれが彷彿とされ、かつての敦煌の繁栄も偲ばれます
木魚は読経するときに打ち鳴らすことでリズムを整え、また眠気覚ましの意味もあるそう、魚を模しているのは、ねむるときも目を閉じない魚がかつて眠らないものだと信じられていたことに由来するのだそう。中国仏教が追放され、交易がなくなると、経済の動脈を断たれた敦煌は衰退し長く忘れ去られ見向きもされなくなってしまいますが、遺跡がまるで眠りから覚めて再び輝きだす様は不思議な宗教の力を感じます。
散華盆 花 椿
散華とは華を散布することで仏教では仏を供養するために華を散布する華の芳香によって悪い鬼神などを退却させ、道場を清めて仏を迎えるためとされる。
菓子器 古染付 明の時代
寿という字がちりばめられていて、裏をかえすと蓮の形をしています。平面的にも立体的にも大変美しい見事な器。形も繊細でひっかけてしまいそうだし、古い物なので大切に扱わないとちょっと怖いです。今月も貴重なお道具惜しみなく拝見させていただきました。
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