2012年2月16日木曜日

【茶道クラブ】2012年2月16日(木)

【茶道クラブ】

~ 如月 ~ 

掛け物 吟松  蓬露 (小堀 政安)
松林に風がふくさま 
花入れ 古銅龍耳 
(古とつくものはとても古いものなので作者などは不明だそうです)
花 藪椿 
お茶では一人の人間が亭主になったり客になったりします。それぞれ役割が集まって一つのお茶という芸術が成り立つので、皆平等であるというのはもちろん、一人の例外もない。一人だけ好き勝手にするとお茶事は成り立たなくなります。太閤秀吉は偉いから、いつも客というわけでもなく、自ら亭主となり、町人をもてなしていた。全てがかかわりあっているというのは他のどんな物事でもそうで、無関係ではいられない。全体とうまくバランスをとって調和を保つことが重んじられた日本だから、過去にどんな困難があっても乗り越えてきた歴史がある。一人勝ちはなく平等だという精神が、お茶には感じられます。様々な災害など、当事者ではなくても同じ日本人である以上避けては通れない問題がある。金持ちも貧乏人も、船がしずめばが皆同様に沈んでしまう。それぞれの役割を誠実に努めていきたいと思います。 

水差し 京焼 三浦 竹泉 
水差しの蓋はいつもは客に蓋裏をみせないようにたてかけるのですが、みかん型で蓋を立てかけるとすべってしまうので、この水差しは逆に立てかけました。 

茶碗 国領作 
田舎家ののどかな春の訪れを感じる温かみのある茶碗 


茶碗 杉原 祥公 雪笹 丹波焼 
少し筒型でお茶が冷めにくく、春の雪解けを感じられるお茶碗でした 

棗 菫(すみれ)に雲雀(ひばり) 溜塗 中棗
井伊宗観好み12ヶ月棗写し 如月 
藤原定家『拾遺愚草』に収められる『詠花鳥和歌各12首』を主題として井伊宗観(直弼)が好んだもので、

藤壷 ゆく春の かたみとやさく 藤の花 そをだに後の 色のゆかりに
雲雀 すみれさく ひばりの床に やどかりて 野をなつかしみ くらす春かな

雲雀と菫の蒔絵に蓋裏には藤の花が描かれています。幕末の大政治家井伊直弼ですが、茶人としても大成していたことが印象的でした。 

一閑人(いっかんじん)の蓋置 

栄螺(さざえ)の蓋置 
棚のお手前だったので蓋置がいろいろあり、それぞれ扱いがありました。炉の火の方に頭を倒して置く“一閑人の火あぶり”“栄螺の尻あぶり”千利休が七種えらんだという七種蓋置の二つ。
お道具の作家や作られた場所を問うことが、拝見の中で多いですが、現代生活は誰がいつどこで作ったのかわからないものに囲まれて、非常に脆い基盤の上になりたっています。恐らく何か困ったことがあっても修復もできないし、どこがいけないのかもわからない。上を見すぎて足元をみてこなかったつけは、いつか払わされるのではないか。道具のもつ意味や背景を感じながら、時には前に進むのをやめて、物事をみつめなおしたりすることの大切さを学びました。


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