2014年3月10日月曜日

【茶道クラブ】平成26年2月23日


~Février~

今月の茶話 茶道クラブ
 
 
 



2月は月釜があり、茶道クラブもそれぞれお手伝いさせていただきました。来客の多さにびっくりして、不慣れと緊張で固まっていましたが・・。宗和先生が一番ほめてほしかったという露地。この日のために青竹にかわっています。露を含んだ緑が光に反射してきらめき、自然が作り出す色や造形には到底人間はかなわないのかと思えてきます。植物は動かない分正直で、手入れを怠るとすぐに枯れたり草に埋もれたり・・。庭に注ぐ愛情と日々のたゆまぬ努力が伺い知れます。





 外部からのお客様を招くということで通いなれたお茶室の空気にただならぬ緊張感がありました。軸は江南一枝の春。江南にはなにも送るものがありませんから、いささかながら一足早く訪れた一枝の春を贈ります。寒い北地へ住む友へおくったとされるなんとも春の日差しのように心が温まるような古事。



 お茶碗も貴重なものがずらり。主茶碗は赤楽、5代宗入 銘は紅梅だそうです。江戸時代に生れ、平和な時ばかりでなく明治維新や世界大戦などの動乱の時代を経てなお存在し今日たくさんの人々に愛でられている。自分の存在がとても小さく思えてさすがに持つ手が震えましたが、これを伝え存続させるためにどれだけの困難があったろうか、この茶碗がたどった歴史も時代の荒波にも負けず大切に保存され伝えられてきたのかと考えると、自分がここで終わらせるような愚か者にはなりたくないと感じました。幸い粗相はありませんでしたが・・。



 
 



 「茶杓」・「林和靖」・「梅妻鶴子」とよばれる宋の隠遁詩人が銘の茶杓は梅の木で削られています。恬淡で衣食の不足にもいっこう気にとめず庭に梅を植え鶴を飼い、梅が妻、鶴が子といって笑っていた林逋の孤高な生き方は、現代人にとってはあこがれなのかもしれません。
  水指は紹鴎形浦千鳥。蓋をあけると千鳥と浪の蒔絵にわあーっと歓声があがりました。      先生の惜しげもなく道具を出し、それが呼び水となりまた様々な道具が集まってくる様はまさに心あればすべて無尽蔵、出さぬ懐には入ってこなくも、惜しみなく出すところは倍にも三倍にもなって入ってくるような広大無辺な様子が感じられます。


 
 
大炉です。大炉の炉縁は大変希少なものらしく、今回先生がわざわざつくっていただいたものに家元の花押があります。100年後でないとその価値はわからないといわれたそうですがよくみると木の年輪の密が違ったりすべすべしたりして、材質が違う事がわかります。100年後には私達もお隠れになっているでしょうが、このような立派な道具は残って私達を伝えてくれるかもしれない。100年後もこの炉縁でお茶会を催すことができるかどうかは私達がいかに無縁の人をも集め慕われるだけの器量があるかどうか、この人が習うなら私もという思いに駆られるものがあるかにかかっているかと思われます。いままでの時代の変遷をたどるとこれからも艱難辛苦が待ち受けること必定と思われますが、後の世の人がこの炉縁を最初に使ってお茶会をした私達を語ってくれますようにという願いが沸き起こったお茶会でした。
   
 

0 件のコメント:

コメントを投稿