2013年4月3日水曜日

【茶道クラブ】平成25年3月27日

 
 

 春風春水一時来 春風 春水 一時に来る  永平寺  宮崎 奕保
 唐の詩人白楽天の府西池の結句であり、長い冬のあとに春が来て、枯柳に芽がふき、池をとざしていた堅い氷がさらりと溶けるように、必ず一朝忽然と悟りが開け、明るい天地にとびだせるものである。変化を恐れるものがあるのか、しかし変化なくしてなにが生じえよう、宇宙の自然にとってこれよりも愛すべく親しみ深いものがあろうか。どうか私にとって大切な、かけがえのないものを失うことのないようにと祈るより、たとえどんなに自分にとって必要なものであっても、失うことを恐れずにいることができますようにと祈ることができれば、いつの日か満ち足りて何ものをも必要とせず、何ものにもあこがれず、現状に満足し、すべて現在あるものを喜ぶようになれるだろう。病気や災害その他自分に処方されたどんな運命の糸をも恐れず、これを受け入れられるような人間になりたいと思います。



  

お茶碗は京焼で左が卯の花、右はさくらでお茶碗の中にも花びらが舞っています。まさに春爛漫の花盛りで心もにわかに春めいてきました。





主菓子はひっちぎり(引千切)。元々宮中行事で子供を祝う儀式のときに用いられた戴餅(いただきもち)を引っ張って千切ったことが由来して、色はピンクは桃の花、緑は蓬の葉、白は雪解けを意味しているそうです。餅の形が真珠貝に似ていることから“あやこ”という呼び名もあるそう。貝殻の形がかわいらしいですね。

沖縄の古酒(泡盛)ケーキもいただきました。真っ白でふわふわで、しかもお酒がしっかりきいててとっても美味しかったです。沖縄に訪れた際はぜひとも手に入れたい一品です。



 
 
   富士画賛 玄々斎

   孤峰露出洛陽東 萬岳壓東聳碧空

   富士山を洛陽の東に五名山のひとつの嵩山に喩えた

    中国において山岳信仰の地として神格化されている嵩山に、日本の富士山を喩えて山岳地とそれに付随する自然環境に対して抱く畏敬の念、雄大さや厳しい自然環境に圧倒され、恐れ慕う感情を思い起こさせてくれる軸です。山から流れる川や森林に依存し、常に目に入る山の恩恵を浴し、その一方で険しい地形や自然環境により、僅かな不注意で命を奪われかねない山岳地帯。自然がどれほど騒乱に満ちた居住地に人間を閉ざし、その住人としたか。自然の約定にしたがって生き、あらゆる災厄を備え予期している者には何事でもないが、安心しきり幸福だけを待ち望む者には難に遭った衝撃は甚大である。しかしそのどれ一つとして突発的なものはない。母胎に宿されたまさにその瞬間から死を定められていることを弁えている者にとって、生じる出来事の何一つとして突発的なものはない。死から遠ざかり、自然から離れあたかも自然を克服したように暮らしている現代人にとって、山は厳しい自然の定を教えてくれます。財産や所有物や権威のみならず自分自身さえも運命に許されて与えられたものとみなし、自分はそれを貸与されたのであって、求められれば悲観することなく返却する心構えで生を送りたいと思います。

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